タスクの整理も、優先順位づけも、進捗の反映も、もう自分ではやっていません。全部AIに任せています。特別なツールを入れたわけでも、複雑な仕組みを組んだわけでもありません。変えたのは、データの置き場所だけです。

タスク管理、もう自分でやってない

冒頭に映しているのは、私が毎朝やっていることです。ターミナルを開いて、AIに「今日は何をやればいい?」と聞く。返ってきたリストの上から順に着手する。それだけです。

タスクの整理も、優先順位づけも、進捗の反映も、自分の手では触っていません。この回では、何をどう変えたらこうなったのかを話します。

以前は、自分で全部更新していた

少し前まで、私は仕事中ずっとNotionを開いていました。タスク管理もドキュメント管理も、全部そこでやっていたんです。Notionのデータベース機能は本当によくできていて、ビューを切り替えれば同じデータをカンバンにもカレンダーにもできる。あの便利さは今でも認めています。

ただ、今にして思うと、あの頃の私は「タスクを管理する」という作業そのものに、それなりの時間を使っていました。タスクを起票して、内容の詳細を書き込んで、他のタスクとの優先順位をつける。この工程が毎回必要だったわけです。

今は、要点を伝えるだけで、起票から詳細の作成、進め方の計画立案まで済んでしまいます。

今のやり方は、たった3つだけ

今の私のタスク管理は、ほぼこの3つだけです。

  1. タスクを書くファイルの置き場所と、書き方の簡単なルールだけ決めておく
  2. 新しいタスクを思いついたら、AIに「これお願い」と伝える
  3. 作業を始めるときに「今日のタスクまとめて」「次は何をやればいい?」と聞く

自分でファイルを開いてステータスを書き換える、という作業がほぼ発生しません。タスクの整理も、優先順位づけも、進捗の反映まで、会話ベースで任せています。Notion時代の私から見ると、正直かなり怠けているように見えると思います。でも実際にやってみると、これがかなり快適です。

なぜこれが成り立つのか

理由はシンプルで、私のノートが全部、ローカルのMarkdownファイルだからです。

AIはターミナルから、パソコンの中のファイルを直接読み書きできます。だから「タスクを書いたファイル」が、そのままAIの作業対象になります。プラグインも、特別なAPI連携も要りません。ファイルとして存在しているだけで、AIがそこに手を伸ばせる状態になっている、ということです。

この感覚自体は、実は目新しいものではありません。2019年に、ソフトウェア研究機関の Ink & Switch が「ローカルファースト・ソフトウェア」という考え方を発表しています。自分のデータが自分の手元にファイルとして存在していること自体に価値がある、という原則です。当時はオフラインで使えることや、サービスが終了するリスクへの備えが中心の話でした。

でも、AIエージェントが当たり前になった今、この原則には新しい意味が加わったと感じています。手元にファイルとしてあることは、人間にとってだけでなく、AIにとっても嬉しい状態なんです。

実際に、AIがファイルを読み書きする

動画では実際の様子も見せています。そこにあるのは、ただのMarkdownファイルです。特別な形式では書いていません。

## 今週のタスク
- [ ] 動画の台本を直す
- [ ] 問い合わせフォームのバリデーション
- [x] 請求書の送付

AIに「このタスクを完了にしておいて」と伝えると、ファイルを開いて、該当する行を書き換えて、保存まで済ませます。私がやったのは、話しかけただけです。ファイルを探すことも、開くことも、書き換えることもしていません。この「間に何も挟まっていない感じ」が、ローカルファイルの一番の強みだと思っています。

ローカルファイル操作は、標準になりつつある

この流れは、私が使っているツールに限った話ではありません。今の主要なAIコーディングツールは、軒並み「ローカルのファイルを直接触れること」を前提に設計されています。

クラウドのAPI経由でデータをやり取りするのではなく、ファイルシステムに直接アクセスする。この設計が複数のツールで独立に採用されているのは、偶然ではないと思っています。AIエージェントがもっとも自然に、もっとも高い精度で動ける形が、ローカルファイルだからです。

Notionでも同じことはできる。ただ一枚挟まる

ここまで聞くと、「別にNotionでも今はAI連携できるでしょ」と思う方もいるかもしれません。実際その通りです。

Notionは公式のMCPサーバーを用意していて、ドキュメントには「AIツールがあなたと同じようにNotionのページを読み書きできる」と書かれています。これはこれで、正直すごい進化だと思います。Notion AIの発展も、UIの表現力も、データベース機能の強さも、今でも素直に良いと思っています。私の使い方だと、タスクボードのようなリッチな見せ方がもう重要でなくなっただけで、Notionそのものを否定しているわけではありません。

ただ、Notionが「AIにデータを読み書きさせる」ために用意しているのは、OAuth認証と、専用サーバーと、MCPというプロトコル変換の仕組みです。つまり、AIとデータの間に、ひとつ変換レイヤーを挟む必要がある。

一方でローカルのMarkdownファイルは、最初から「AIが直接読み書きできる状態」そのものです。わざわざ接続を用意しなくていい。この違いに気づいてから、AIに何かを任せたいと思ったときの最短ルートは、実はずっとシンプルな場所にあったんだ、と感じるようになりました。

AIが触れるほど、タスク管理の精度は上がる

ここが、この動画で一番言いたいことです。正直に言うと、タスクの整理や優先順位づけといった作業は、自分でやるよりAIに任せた方が精度が上がると思っています。理由は大きく2つあります。

ひとつは、タスクが発生してから着手するまでのスピードです。以前は自分ですべて管理していたので、タスクを起票し、内容の詳細を書き込み、他のタスクとの優先順位をつける、という工程が毎回必要でした。今はこの一連の流れをAIに任せているので、要点をポンと伝えるだけで、起票から詳細の作成、進め方の計画立案まで済んでしまいます。

もうひとつは、並行してさばけるタスク量です。自分で管理していたときは、ある程度の情報を頭の中に留めておく必要がありました。何も覚えなくていい、目で見れば分かる、という状態をUI側で作ろうとしていたのですが、そういう緻密な管理にはどうしても時間がかかります。AIに任せてみると、並行するタスクの数がどれだけ増えても管理が破綻しません。散らばった情報を漏れなく拾い上げる、過去のタスクとの関連を見つける、優先順位を客観的に並べ替える——こういう作業は、人間よりAIの方が得意です。

だとすると、AIに任せられる範囲を広げることは、単に自分がラクになるという以上に、タスク管理そのものの質を底上げすることに直結します。そしてAIに任せる範囲を広げようとすると、必ず「AIがそのデータにどれだけ迷いなくアクセスできるか」という壁に突き当たります。ここで、ファイルとしてローカルに存在していることの価値が効いてくるわけです。

Martenという選択肢

この考え方を、個人のタスク管理だけでなくノートアプリとしても体現しようとして作っているのが、Marten です。

GitHubをデータの置き場にする、マルチデバイス対応のMarkdownエディタで、ファイルの実体は全部、自分のGitHubリポジトリに残ります。ノートも、この回で話したようなタスクの覚え書きも、同じ場所に置いておけば、手を伸ばしたいときにいつでもAIが直接触れる状態になります。

ObsidianとAIツールの組み合わせだけでも十分快適なのですが、複数の端末をまたぐと、ローカルフォルダの同期に地味に気を使う場面が出てきます。そこをGitHub任せにできないか、という発想から作り始めました。ローカルファイルの強さに気づいてしまった人向けです。

また次の動画で

このチャンネルでは、AIを使いこなして自分の能力を最大化するための、道具と仕組みの話をしていきます。